一般的に体に良いとされるのは、有機物質を含まないお水。そして、ミネラルがバランス良く含まれ、
弱アルカリ性であることです。ミネラル分は、水1リットルあたり100mg程度含まれていると味がまろやかになり、
おいしくなるといわれています。また、体は疲労状態だと酸性に傾くので、弱アルカリ性のお水で中和するとより
早く疲労状態から抜け出せます。
また、お肌に良いとされる弱酸性のお水は、お肌を潤す効果をもたらします。さらに、
弱酸性下の肌では外部の細菌やカビの活動が抑制されるため、
健康な肌でいるためには、実は皮脂膜を弱酸性に保つことが大切なのです。
その証拠に、ボディソープや洗顔料など、お肌に直接触れるものに弱酸性のものが多くあります。
弱アルカリ性のお水は、体内に良い効果をもたらし胃酸過多の症状に適していると考えられています。しかし、飲みすぎると胃酸の消化の働きを損ねる場合があります。
日射病や熱中症を予防するためには、日頃から体調を整えておくこと、炎天下や高温下での行動を控えることが大事です。しかし、こまめに水分補給をして脱水を起こさないようにすることも重要なポイントです。喉が渇いたと思ったらとにかくお水を飲みましょう。このときお水に塩を混ぜると、汗で失われたナトリウムも補給できます。塩の目安は500mlのお水に対して4~5g。子どもに対しては、甘いものを好む場合はジュースなどでも構いません。また成人では、ビールで水分補給をしようとする方がいますが、アルコールの利尿作用によってますます脱水状態になる可能性があるので控えたほうが良いでしょう。
まずご自宅の水道管が鉛管であるのならば、朝一番のお水は飲まないほうが無難です。バケツ一杯分ぐらいを掃除用などとして蛇口から出してから、飲用としたほうが良いでしょう。トリハロメタンが気になるという場合は、15分程度煮沸させてから飲むと安心です。
また、水道水の汲み置きは不純物の除去にあまり効果がなく、逆に空気中の雑菌などが入りやすいという点であまりオススメできません。
皆さんが生活していくうえでかかせない水道水。わが国では水道水の管理が徹底されており、他国に比べて安全だといわれていますが、それでもまだまだ改善すべき点は多いものです。ここでは日本の水道水の現状について解説していきましょう。
世界中のほとんどの国で水道水をそのまま飲むと、多くの場合下痢をします。それは、水道水の中に大腸菌などの細菌類やヒ素・カドミウムなどの有害物質を含んでいるから。そういったことから、他国と比べると日本の水道水がきれいなのは事実です。しかし、日本でも過去には工業用水や界面活性剤の混入により、水道水の質が落ちたことがありました。90年代には、塩素で殺菌できない菌や水道管の鉛混入などの問題が浮上したことも。行政はその都度、水質基準を強化して技術を尽くし、世界一安全な水道水を確保してきました。
とはいえ、それでも有害物質がゼロではないのが現状です。日本の水道では、急速ろ過という方法を取り入れているところが多く、急速ろ過とは、大量の薬品を使って、一気に浄化してしまう方法です。それでもカルキの臭いが残ったり、放射能や水質基準に定められていない有害物質などもあり、健康弱者にとっては不安があります。まずはどんな有害物質があるのかを知っておきましょう。
- クリプトスポリジウム
- 腸内で増殖して下痢を起こし、場合によっては死に至ることもある原虫(微生物)。当初はアメリカのみで発生していたのですが、90年頃から世界中に広がってきました。日本では95年に平塚市、96年には埼玉県越生町で発生。その後の調査でもいくつかの河川や浄水場で検出されています。
- ジアルジア
- こちらも原虫と呼ばれる微生物で、世界各国で発生が報告されています。人や家畜などの腸内で増殖し、下痢・腹痛・血便・小児の栄養障害などを引き起こします。この原虫の体内保有者は非常に多く、日本でも数%の人が無症状のまま保有しているといわれています。
- エキノコックス
- こちらも原虫です。エキノコックスの卵が混入された飲食物を体内に取り入れることで、肝臓・胆道・脳・目・腎臓などが冒されていきます。かつては北海道だけに見られていましたが、近年では本州にも広がっていることが確認されています。
- 鉛
- 鉛は発がん性物質であり、小児においては知能指数低下や発育障害を引き起こすとの報告もあります。現在、新規に設置される水道管には鉛管が使用されることはなく、既存の鉛管も変更が進められています。しかし、2005年の時点で水道管全体の約10%はまだ鉛管が残っているとされています。
- アスベスト
- アスベストは吸入すると肺気腫になるほか、発がん性物質としても知られています。水道管には1950年代~1985年まで石綿セメントとして使われていました。現在でも全体の3%程度残っており、水道水中に検出されることもあります。
- ビスフェノールA
- 環境ホルモンの一種で、男性の精子数減少の原因の一つといわれています。水道本管のサビ防止として内面に塗布されており、水道水に溶け出してくることがあります。
- アルミニウム
- アルツハイマー病の患者の脳から多量のアルミニウムが検出されることから、この病気の原因物質ではないかと注目されつつある物質です。アルミニウムは自然界のどこにでも存在するため、河川水・水道水にも含まれていると考えられます。しかし、浄水場で使用される凝集剤の一部として流れ出てくることが、混入の主な原因となっています。
- トリハロメタン類
- 浄水過程において塩素が化学反応を起こし、発生してしまう副産物です。発がん性があるほかに、肝臓・腎臓障害も引き起こす可能性があります。
- 塩素消毒による副生成物
- 以下の物質は水道水中濃度の公表データがありません。トリハロメタン類よりは低い濃度ですが、混入されていると考えられます。
クロロ酢酸 | 発がん性はないが、肝臓・腎臓障害を引き起こす可能性あり |
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ジクロロ酢酸 | 大脳・肝臓・胆のう障害を引き起こす可能性あり |
トリクロロ酢酸 | 発がん性は低く際立った健康障害を引き起こす可能性はないが、強酸。タコ・マメ・イボなどの治療に用いられる |
臭素酸 | 自然界にある物質だが、浄水過程でオゾン処理や塩素処理をされる際にも発生する |
ホルムアルデヒド | シックハウス症候群の原因物質として有名。飲用の際の発がん性はまだはっきりしていない |
- 合成有機化学物質
- 石油から合成される有機物で揮発性が高く、産業界で広く用いられています。慢性的に摂取すると、肝臓・腎臓・神経障害、発がんの可能性があります。
四塩化炭素 | フロンガスといった冷媒の原料。スプレー噴射剤・金属洗浄剤などで使われる |
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1,4-ジオキサン | 工業用の溶剤として使われる。また、非イオン系界面活性剤に混入されていることもある |
1,1-ジクロロエチレン | さまざまな樹脂の製造材料かつ製造中間体 |
シス-1,2-ジクロロエチレン | 溶剤・染料抽出剤・香料などで使われる |
トリクロロエチレン | 金属部分脱脂洗浄剤・工業用溶剤として多量に使われる |
テトラクロロエチレン | 有機溶剤・ドライクリーニング溶剤・金属部分脱脂洗浄剤として多量に使われる |
ジクロロメタン | 殺虫剤・染料・ニス・ペイント剥離(はくり)剤・香料・天然物の抽出剤など多くの用途があり、多量に使われる |
ベンゼン | スチレン・フェノール・合成ゴムの原料。発がん性があるほかに、再生不良性貧血・白血病の原因にもなる |
- 農薬類
- 農薬は使用量が多いので、水道水や地下水などに含まれていることが多くあります。健康障害は農薬の種類によって違いはありますが、多くの場合、頭痛・めまい・不安感・吐き気・神経過敏・食欲減少などの症状が現れます。
- ダイオキシン
- 塩化ビニールなどを有機物と一緒に燃やすと発生するとして、社会問題にもなった物質。健康障害は動物によって違いはありますが、人に対する影響は未だよくわかっていません。とはいえ、何らかの毒性があるのは確かであり、決して無視できないものとされています。
- 環境ホルモン
- 環境ホルモンとは、人や動物の体内でホルモンと同じような働きをしたり、ホルモンの働きを邪魔したりする人工化学物質などのことです。生死や疾病に関わる毒性はないものの、極微量の摂取で身体に影響を与えることがわかっています。動物実験の結果では、流産・早産・子宮内膜症・不妊などが指摘されています。
- 陰イオン界面活性剤
- 油汚れの洗浄に効果的なため、合成洗剤の主成分となっています。政府は「適度に使用していれば健康を害することはない」としていますが、学者の中にはがんや奇形の原因になると指摘する人もいます。
- 塩素
- 殺菌力があるので健康への影響を心配される方は多いかもしれませんが、人体に害はありません。しかし、食品の成分を破壊・変質させることがあるので、お茶・コーヒー・その他の料理の味を変えてしまいます。また、ビタミンCなどの栄養素も損なわれてしまうので、飲食用として水道水を使うときは除去したほうが良いとされています。
- 2-MIB、ジオスミン
- 放線菌や藻類などの代謝物質であり、水道水がカビ臭くなる原因です。毒性・有害性はありませんが、敏感な人であればほんの微量でもにおいを感じてしまいます。
福岡市・北九州市エリアを中心に、水道管工事やリフォームの工事を請け負う「ネオトラップ」は、有害物質が含まれない安全な水道水を提供するための環境整備に努めています。2018年に成立した改正水道法の制定に伴い、水道民営化に向けて水道水にまつわる状況が変化しています。具体的にわたしたちの生活にどのような影響を及ぼすのか、改正水道法のメリット・デメリットをわかりやすくご紹介します。
2018年12月、国会で「改正水道法」が成立しました。改正水道法は、自治体が浄水場など水道事業用の施設や設備を所有したまま、事業の運営権を民間企業に売却する「コンセッション方式」を推進する改正案です。現在の水道事業は、全国各地の市町村などの自治体が主体となって運営しています。しかし、地方の人口減少に伴い給水人口が激減し、水道料金の収入が大幅にダウンして赤字を抱えている自治体が増加しています。そこで、法改正により民間のノウハウを活用し水道経営の基盤を強化して、資金不足で放置したままとなっている水道管などのインフラ整備が継続的に行えるような仕組み作りに乗り出しました。ただし、民営化に伴う水道料金の値上げや水質の悪化など不安視する声も多く、今後の課題となっています。
水道民営化が進むと、資金が安定して確保され水道基盤のメンテナンスが滞りなく行えることが大きなメリットになるといわれています。現状、耐用年数が過ぎて老朽化した水道管が資金不足で放置され、漏水や破裂により数多くの事故が発生しています。民営化することで、水道事業の経営を継続的に安定させ、有害物質を含まないクリーンな水道水を提供できる環境整備を目指します。 一方で、水道民営化を進めるにあたって水道料金の格差について課題が残ります。2017年時点で、全国で一番高い水道料金は北海道夕張市、一番安い水道料金は兵庫県赤穂市で、8倍ほども開きがあります。この差は、給水家屋の密集度や浄水にかかるコストなど、水道を管理する地域の特性によって大きく変わります。民営化すると、さらに収益性優先が加速し、料金格差が20倍程にまで開くことも想定されています。給水人口が少ない地域で暮らす方への負担が大きくなることが心配されています。